【点訳とは】
「点訳」とは、墨字(活字や手書きの文字)で書かれた文書を、点字に書き換える作業です。
【点字について】
点字は1825年にフランスの全盲青年ルイ・ブライユが考案した6点の組み合わせからなる63通りの文字です。
日本では石川倉治によって日本語用に翻案し1890年に採用されました。
点字は縦3点、横2点の6点の組み合わせで構成され、この6点の単位を「マス」と言います。
下記の表のように点字の基本は仮名を表します。点字にはカタカナ、平仮名の区別はありません。
「あいうえお」の母音に決められた点を加える事で他の文字を表します。「あ」から「ん」まで46個あります。

また、文字には「がぎぐげご」の濁音や「きゃきゅきょ」の拗音など、他にも数字・アルファベットなどたくさん種類がありこれらすべて点字で表すと大変な数になり63通りでは収まりません。
そこで考えられたのが五十音の中のあてはまる音の前に記号(決まった点)をつけ二マスで一つの音を表す点字にしました。このように残りの17個の点字を使う事でカナ以外にも数字やアルファベットを表す点字や読点・句点などの記号を表す点字が出来上がりました。

【点訳の方法】
実際に点字の文書を作成するには、主に2つの方法があります。
点字盤による点訳
点字盤で紙に1つ1つ文字を打っていく方法です。
従来から用いられてきた方法です。
多くの点訳ボランティアが、この方法で根気のいる作業を続けてきました。
点字タイプライタを使う場合もあります。
パソコンによる点訳(パソコン点訳)
パソコンと点訳のためのソフトウェアを用いる方法です。
入力が簡単で、1度データができると何冊でも同じものを印刷することができます。
印刷には点字プリンタが必要です。
【パソコン点訳の手順】
基本的には、点字盤による点訳の手順と同じです。
ただ、点字盤の場合には入力と出力が同時に行われるのに対して、パソコン点訳の場合は、点字
エディタ(点訳のためのソフトウェア)で点字を入力し、後に点字プリンタで出力します。
アイネットでは手入力する他に、点字用のテキスト(漢字かな交じりの文章)を作成し専用ソフトEXTRA(エクストラ)を使用して点字変換をしたうえで点字エディタに置き換え編集しています。
点字文書の編集
[入力]点字表記のルールに従って、点字エディタを使って入力します。
または、テキストデータをEXTRAに通し、点字変換をして点字エディタに置き換えて正しく
編集します。
[保存]作成した文書データを保存します。
[校正]文書データの内容について校正したうえで、最終的にデータを完成させます。
点字文書の印刷
[印刷]点字エディタの印刷機能を使って、点字プリンタで必要部数を印刷します。
[製本]印刷したものを必要に応じて製本します。
【点訳のための道具】
点訳作業には次のような道具を使用します。
〈点字盤等による点訳〉
◇ 標準点字盤

◇ パーキンスブレーラ

◇ ライトブレーラ

〈パソコン点訳〉
1.パソコン

2.点字変換・点字エディタ
<EXTRA>

<点字編集システム>

3.点字プリンタ

1.パソコン
主にWindows上で動作するソフトを使用します。
2.自動点訳ソフト・点字エディタ
パソコンのメーカーやOSに応じてソフトウェアを選びます。
種々のソフトがありますが、入手しやすいものを紹介します。
Windows用
EXTRA → 入手先:有限会社エクストラ
点字編集システム → 入手先:テクノツール
ソフトウェアによって編集機能に特徴があります。
3.点字プリンタ
点字プリンタは機種によって数十万円から数百万円します。
→プリンタの紹介:視覚障害者用アクセス技術製品データベース
多くの場合、グループで共有したり借用したりして使っています。